FACTORING GUIDE
「後払いファクタリング」「給与ファクタリング」と正規ファクタリングの見分け方
最終更新: 2026-08-08
「ファクタリング」という名称でも、実質的にはお金の貸付けにあたる取引があるとして、金融庁・消費者庁が注意喚起を出しています。とくに個人の給与を対象にする「給与ファクタリング」は、裁判所が貸金業法上の貸付けにあたると判断した例があります。このページは公的機関の公表情報と裁判例の整理であり、個別事業者の評価ではありません。
この記事の要点
- 金融庁は、ファクタリングを装った実質的な貸付け(偽装ファクタリング)に貸金業登録なしで従事する業者への注意を呼びかけている
- 「給与ファクタリング」は、裁判所が貸金業法の適用対象(貸付け)と判断した裁判例があり、金融庁も個人向けに注意喚起している
- 見分けの着眼点は「償還請求権」「対象債権(事業の売掛金か、個人の給与か)」「手数料の水準」「登録・法人表示の有無」
公的機関の注意喚起
金融庁は、売掛債権の売買を装って実質的な貸付けを行う「偽装ファクタリング」や、個人の賃金債権を対象とする「給与ファクタリング」について注意喚起を公表しています。給与ファクタリングは経済的に貸付け(金銭の交付と返還の約束)と同じ機能を持つとして、貸金業登録のない業者の利用に注意を促しています。
また「後払い」「ツケ払い」をうたう現金化商法についても、消費者庁などが注意喚起を出しています。商品売買やレビュー報酬などの形式をとっていても、実質は高コストの資金化である取引類型です。
裁判例(給与ファクタリング)
給与ファクタリング業者をめぐっては、取引が貸金業法・出資法上の「貸付け」にあたるとして、無登録営業・高金利の観点から契約の効力を否定した裁判例が公表されています(東京地裁 2020年3月24日判決ほか)。判決では、賃金債権の譲渡があっても労働者への賃金支払いは使用者から労働者へ直接なされる必要があることが前提とされました。
見分けの着眼点
正規の売掛金ファクタリングと、注意喚起対象の取引を分ける実務上の着眼点を整理します。
- 対象債権: 事業の売掛金(BtoBの請求書)か。個人の給与・賃金を対象にするものは金融庁注意喚起の対象類型
- 償還請求権: ノンリコース(売掛先の不払いリスクを買主が負う)か。買戻し・保証を利用者に負わせる契約は実質貸付けの指標とされる
- 手数料水準: 年率換算で著しく高くなる場合、貸付けなら上限金利規制に触れる水準かを意識する
- 表示: 法人名・所在地・固定電話の表示があるか。貸金業登録の有無(真正な売買なら原則不要だが、貸付け性が強い取引では必要)
当区画での扱い
当区画では、給与・後払い型の現金化に類する取引は正規業者の一覧に混在させず、注意喚起の対象類型として扱います。掲載する場合も事実の記録と公的情報の引用にとどめます。
出典・参考
- 金融庁「ファクタリングの利用に関する注意喚起」(偽装・給与ファクタリング) ↗
- 消費者庁 後払い(ツケ払い)現金化に関する注意喚起
- 東京地裁 2020年3月24日判決(給与ファクタリングと貸金業法)※判例データベース等で確認可能